CPAC 2018
〜革新続けるデバイス、継承される技術〜

経皮的カテーテル形成術(PTA)は、冠動脈インターベンション(PCI)が1977年に行われる10年以上も前にアメリカのCharles Dotterにより、第1例目が施行されました。放射線科医であった当時のDotterは、外科医が手術のために必要とする画像を撮影し、血流と閉塞を評価する役割を担っていました。そこで、多くが侵襲的な手術を受け、必要に応じて下肢を切断される現状を目の当たりにしていた彼は、患者さんの負担を軽減できる治療を探していました。そして、行きついた先がカテーテルを挿入する治療法でした。1964年に下肢切断を拒否した82歳の女性の浅大腿動脈(SFA)の短い閉塞に対し、径の異なるカテーテルを細いものから徐々に挿入して閉塞を広げる治療に成功しました。この女性は直ぐに痛みが消失し、1週間後には潰瘍が治癒して切断が回避することができました。いわゆる、Dotter法の始まりです。Dotterの治療法は外科医から批判され、「Crazy Charlie」と揶揄されるようになりましたが、彼はこの治療を完成させるために日夜研究を続けました。Dotterのコンセプトはその後、バルーン拡張術となりAndreas Gruentzigが心臓へと応用し、カテーテルインターベンションとして一時代を築きました。

経皮的に血管の治療することが可能となった後の課題は開存を維持することです。その役割が期待されたデバイスがステントでしたが、冠動脈とは異なり病変が長く、且つ、高頻度に高度石灰化を伴う下肢領域の病変に対してはステントの効果に限界がありました。欧米では積極的にステントを留置する「Just stent it」の時代から「Leave nothing behind」時代へと突入し、薬剤コーティッドバルーン(DCB)やアテレクトミーデバイスへの期待が高まっています。一方で、長い病変ではバルーン拡張後に常に解離のリスクが伴います。そこに求められるデバイスは拡張力の強いステントであり、欧米ではSuperaステントに注目が集まっています。

テクノロジーの進化が多くの患者さんにとって恩恵をもたらすことに疑う余地はありませんが、その一方で、カテーテルインターベンションにおいては人から人へと継承されるべく技術を習得する必要があります。患者さんの命を握る我々に課された責任は重く、次々に登場する革新的なデバイスに使われるのではなく、使いこなすだけの技量を持たねばなりません。偽腔を拡げ、そこにDCBで薬剤を塗布することの効果は不明です。また、病変にワイヤを通過させる技術がなければ、アテレクトミーデバイスの使用や拡張力の高いステント留置はできません。それ故、我々カテーテルインターベンショニストはデバイスの進化を常に超える技術を持たねばなりません。

CPACは末梢血管インターベンションの技術の継承を目的とし、前身の豊橋ペリフェラルライブから数えて今年で12回目を迎えます。本コースでは、我々豊橋ハートセンターを代表する術者に加えて、世界からも定評のある術者を招いて治療困難な病変に対するエキスパートの手技をライブで紹介し、回を重ねる毎に参加者も増え、1,000人を超える参加者が集まる国内有数のライブコースとなりました。これからも最高峰の技術の継承を主眼としたオンリーワンのコースを目指していきます。

今年は「革新続けるデバイス、継承される技術」をテーマに掲げました。CPACが開催される11月末は新しいデバイスが利用できる時期でもあり、ライブデモンストレーションでは経験豊富なエキスパートより短期の手技成功を得るテクニックのみならず、長期の開存が見込めるデバイスの適切な適応と適正使用に関してもご紹介いたします。また、座学では例年通り、末梢血管インターベンションの基本から応用に加えて、デバイスに焦点をあてたセッションも企画しています。さらに、今年も昨年好評であった静脈インターベンションのセッションも設けます。静脈疾患に対しても今後はデバイスの登場に伴いカテーテル治療の幅が広がります。もちろん、コメディカルの皆様には座学とハンズオンをはじめとしたプログラムでお迎えいたします。

多くの皆様から支持いただけるライブコースであり続けられるようスタッフ一同鋭意準備をしております。冬が始まりつつある豊橋で皆様のお越しをお待ちしております。