Complication of the Year 2021

演 者


事故拡張?~展開されなかった自己拡張型ステント
梶口 雅弘(刈谷豊田総合病院 循環器科)

症例:
右趾間潰瘍で紹介の80歳代男性。CT/USにてヘアピン2個と大きな湾曲からなる右EIAの起始部からPopAまでの、比較的柔らかい血栓性閉塞と診断しEVTを施行。左上腕動脈の6Fr Guiding sheathからSFA近位までwiring、右CFA順行穿刺でFPのwiring、4mm径12cm長バルンで前拡張、FPにステント3本留置し6mm径バルンで後拡張しつつ左上腕からの0.014GWをtrappingし、左上腕からEverFlex 8*120mm (150cm shaft)を持ち込み。屈曲蛇行し20cm長はある腸骨動脈の遠位までstent到達したため展開したが、僅かに展開されたのみでthumb wheelが回りきってしまった。Stent delivery systemは相当な力で抜去し得たがEverFlexはグングン延長し大動脈まで到達して展開された。0.014GWはdelivery system内で固着しており抜けてしまった。ヘアピン部で顕著にstent狭小化しており、0.035GWをstent脇に通し直してEXPRESS stent留置方針とした。35GW通過するも5Frカテ不通過で14GW変更→IVUSで通過路確認は不能。CFA逆行穿刺追加し35→14GWを大動脈まで通すも変形stentに阻まれバルン/IVUSが通過しきれず断念。35GW (stiff) を順行性に通過させ、pull-throughとして逆行性にdeviceを持ち込んでの拡張に切り替え。Conquest 6*40mmはヘアピン部で行き詰るがBADFORM techniqueにて引き込み順次拡張、同様にBADFORMでEXPRESS stent 4本を持ち込んで順次留置し再建に成功。2本ないし2重stentingとなったことで末梢塞栓や血栓逸脱なくbailoutし得た。

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スライド(2)
スライド(3)
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MID-NIGHTMARE in Tobu Cath Lab
水澤 真文(済生会横浜市東部病院 循環器内科)

症例:
症例は70代男性、糖尿病性腎症で維持透析中である。右足趾の虚血性潰瘍を認めた。SFAにびまん性高度狭窄、ATA、PTAに高度石灰化を伴うCTOを認め、EVTの方針となった。午後6時に手技を開始した。ATAは石灰化に阻まれアンテからのワイヤー通過は不能、足背動脈を穿刺し、プルスルーを確立しバルーン拡張を行った。しかし、アンテのワイヤーが足背動脈遠位に通過せず、穿刺部での血管損傷のためATAから足背動脈への血流が途絶えてしまった。PTAは閉塞しているが、側副血行路経由で足底動脈の血流は確認できたため、SFAの治療を行い手技終了の予定とした。しかし、SFAをDCBで拡張したところ、遠位塞栓により足首以下の血流が消失した。繰り返し血管拡張薬を投与するも血流の改善認めなかった。そのため、PTAへのEVTを追加する方針とした。この時点で午後11時半であった。アンテからのワイヤーは通過せず、石灰化を目印にPTA遠位を穿刺し、ワイヤー通過に成功した。バルーン拡張後はPTAから足底動脈への血流が得られ、午前3時に手技を終了した。

結語:
DCBによる重度の末梢塞栓を経験した。CLTIでrunoffの乏しい症例でのDCBの使用は慎重に検討しなければならない。


Bailout for the Bleeding Nightmares
佐藤 裕介(時計台記念病院)

症例:
60歳代女性、CLTI Rutherford 6
左拇趾の壊疽を主訴に受診。下肢動脈エコー検査で左SFAのステント内再狭窄及び膝下3分枝の閉塞病変とSPPの著名な低下(Dorsal/Plantar 18/11 mmHg)を認めCLTIと診断した。左鼠径をから同側順行アプローチでガイディングシースを挿入し手技を行い、SFAの再狭窄病変及びATAの閉塞病変の血行再建に成功し、止血はエクソシールで施行し術後経過は良好であった。
EVTの8日後の透析中に、突然の左大腿内側部の疼痛の訴えと腫脹を認めた。ショック状態となり造影CT検査を行うと左大腿内側に血腫の形成を認めた。CT撮像中に心肺停止に至ったが蘇生に成功し、引き続き緊急カテを施行した。血管造影では左CFAの穿刺部からの持続性出血を認め、遅発性穿刺部血腫と考えられた。この出血イベントに対しEVT、特にトロンビンを用いた手技でBailoutに成功をした。
当院ではdistal puncture siteの止血に対して日常的にトロンビンを使用しており、その経験も含め報告する。


Viabahn ステントグラフトが展開困難となり抜去不能に陥った症例
桐井 陽祐(京都第二赤十字病院)

症例:
症例は76歳女性. 右踵部潰瘍の改善に乏しく, 虚血が疑われたため当科を紹介受診した. 下肢動脈エコーでは, 7年前に右浅大腿動脈(SFA)慢性完全閉塞にフルカバーで留置されたベアナイチノールステントが閉塞しており, まずは薬剤コーテッドバルーンを用いて血管内治療(EVT)を施行した. しかし, 1ヶ月間以内に早期再閉塞を認めたため, 再度同病変に対するEVTを実施した. 早期再閉塞病変であること, 対側SFAに留置したVIABAHNステントグラフトが長期開存していることから本病変にもVIABAHNを留置する方針とした. SFA遠位部に1本目を留置し, 中間部から近位部に2本目を展開した際に途中で展開困難となり押すことも引くこともできなくなった. まず, 順行性ガイドシースへの回収を試みたが抵抗が強くシャフトが断裂した. この後, 試行錯誤を経て最終的にVAIABAHNの回収することに成功, 順行性に再度別のVIABAHNを留置し良好な血流再開が得られた. 今回, VIABAHN留置中に展開困難に陥った症例を経験した. 同様の事例は少数報告されているが, 現時点で機序は不明であり今回用いたベイルアウト方法も含め報告する.


血栓性再閉塞を繰り返した急性下肢動脈閉塞症の1例
山本 隆介(高岡みなみハートセンター みなみの杜病院)

症例:
症例は50歳代の男性。1週間以上前からの右下肢の跛行を主訴に来院され、ABIは右0.23と著明に低下していた。下肢動脈造影にて右総大腿~浅大腿動脈に浮遊する血栓像、膝窩動脈での血栓閉塞を認めた。塞栓源の検索目的に施行した造影CTにて下行大動脈内に壁在血栓が疑われた。血栓性素因の検索を行い、ウロキナーゼの全身投与を開始した。その後、ABI 0.23→0.56へと上昇みられるも自覚症状の改善なく、EVTを行う方針とした。血栓吸引とバルーニングにて再灌流が得られたものの血栓性再閉塞を繰り返し、三度EVTを行うこととなった。最終的にABIは1.20まで改善し、自覚症状も軽快して自宅退院、社会復帰となった。血栓性素因として高ホモシステイン血症が認められた。術中にヘパリン不応が疑われてアルガトロバンを使用したが、3回目のEVTではアルガトロバン投与下でもACTの延長が乏しく、再度ヘパリンを使用したところACTの延長が得られた。血栓の処理に難渋し、短期間に再閉塞を繰り返した急性下肢動脈閉塞症の1例を経験したので報告する。