CPAC 2019
末梢血管インターベンション 2019 ~克服すべき課題と問われる真価~

カテーテルインターベンションの進歩は技術の進化によって支えられてきました。1964年に最初に血管形成術を行ったCharlesDotterのDotter法から始まり、AndreasGruentzigが考案したPTCAは冠動脈から末梢血管へと応用され、その後、アテレクトミーデバイスやステントなどが開発されました。冠動脈では薬剤溶出ステント(DES)がブレークスルーテクノロジーとなり、確固たる地位を築きましたが、下肢動脈に対してステントは適応こそあるものの、その成績は満足できるものではありません。下肢動脈病変はメンケベルグ硬化症を伴う線維・石灰化狭窄が多く、且つ、病変が長いという特徴を持ちます。この点が冠動脈と異なり、冠動脈インターベンションで用いるデバイスを下肢に応用する限界でした。

そこに登場したのがパクリタクセルをコーティングしたステントでした。しかし、“JustStentit”とはならず、その後に登場した薬剤コーティッドバルーン(DCB)はバルーン形成術よりも成績が良く、ステント同様の成績が得られることから、“Leavenothingbehind”というコンセプトが唱えられるようになりました。

2018年12月、本邦においても強力な拡張力を持つSuperaステントとEluviaパクリタクセル溶出ステントが登場しました。DCBにこれらの選択肢が加わった矢先、この流れに待ったをかける論文が2018年の年の瀬に発表されました。「大腿膝窩動脈のパクリタクセルコーティッドバルーンとステントによる治療後の死亡リスク: 無作為コントロール試験のシステマティックレビューとメタ解析」と題したギリシャのチームから発表されたこの研究結果は市場に衝撃を与えるものでした。2006年のヨーロッパ心臓病学会において発表された、冠動脈のCypher、TaxusDESが死亡とMIを増加させるという“バルセロナのファイヤーストーム”を彷彿させるこの解析は、パクリタクセルを使用したデバイスで治療された患者群では2年以降に死亡が増加するとの見解を示しました。

2019年1月、末梢血管インターベンションの世界最大のライブコースであるLINC2019において、DCBやDESテクノロジーを推進してきた世界のリーダーらは、このメタ解析に含まれた患者レベルのデータを解析した結果を発表し、パクリタクセルテクノロジーの安全性を示し、デバイスを使用する正当性を訴えました。これまでの流れと同様に新たなブレークスルーテクノロジーには常に反論があります。そのような反論を越え、経験を蓄積すると同時に新たなエビデンスを創り、ガイドラインを書き換えるのが我々臨床医の役割ではないでしょうか。

CPAC2019は、「末梢血管インターベンション2019~克服すべき課題と問われる真価~」をテーマに掲げました。我々に課された使命は、革新を止めることなく前進を続けることです。我々には欧米にない手技的至適アウトカムを追求する文化があります。新たなテクノロジーと我々の技術を融合させたアウトカムは欧米に「優るとも劣らず」です。CPACでは今年も国内最高峰のEVTオペレーターをお招きし、至適アウトカムへと導く技術とプロセス、そして、適切なデバイスの使用法をご覧いただきます。座学セッションでは従来通り、EVTの基本、デバイス、テクニック、ベイルアウト等、オペレーターが知るべきテーマを設けました。今回は新たなデバイスを用いた初期アウトカムはもちろん、長期アウトカムの改善を視野に入れたセッションも企画しています。

成熟期から停滞期に入った冠動脈領域とは異なり、EVT領域は技術的にもデバイス的にもいまだ発展途上にあります。このような中、皆様とともに新たな時代を切り開き、既存の課題を克服し、進化できれば幸いに存じます。