ごあいさつ

原点回帰 〜真へのこだわり〜 

2018年12月に突如巻き起こった末梢血管領域におけるドラッグ・テクノロジーの論争も収束し、この領域にも薬剤コーティッドデバイスが定着しました。薬剤コーティッドバルーン(DCB)は強力な抗再狭窄効果を示してきましたが、閉塞病変でワイヤが偽腔に通過した場合のエビデンスは確立されておらず、薬剤をどこに塗り込むかで開存率に影響をもたらすと考えられます。そこで重要となるのは閉塞病変で真腔をとらえるためのワイヤリングテクニックです。下肢疾患においては閉塞長の長い病変が多いため、閉塞病変に対する術者の力量が見直されるようになりました。

豊橋ハートセンターでは、PCIで培った経験を活かし、IVUSガイドワイヤリング、エコーガイドワイヤリング、レトログレードワイヤリングなどのテクニックを用いてEVT領域においても真腔をとらえる治療を目指してきました。このような利用できるデバイスを駆使して閉塞病変の真腔をとらえて薬剤を動脈硬化巣に塗布することで、高い開存率を得られるとというコンセプトで治療を提供してまいりました。実際に我々ハートセンターグループで行ってきた大腿膝窩動脈の平均病変長118 mmの慢性完全閉塞病変に対するDCBを用いたEVT(2018-2020)において、provisional stent率21.1%、DCB finalizeした症例群での、術後1年での再狭窄率が14.1%、CD-TLRは7.8%,と良好な成績となっております。

このような背景からCPAC 2021のテーマを「原点回帰 ~真へのこだわり~」とし、今回は閉塞病変の治療に焦点を当ててプログラムを企画します。ライブデモンストレーションはもちろん、教育講演でも真腔を取ることの是非を議論していきます。そして、テクニックと同様に重要になるのがデバイスです。ガイディング、ガイドワイヤ、貫通デバイスなども改めて見直してみたいと考えております。

また、今日のベアメタルナイチノールステント(BNS)、薬剤溶出ステント(DES)の役割についても考えてみたいと思います。EVT領域に薬剤コーティッドデバイスが導入されて5年以上が経過し、DESの1年の開存率は90%に迫ります。特に日本では欧米と比較しても良好な成績が報告されており、その背景には手技の違いがあると考えられます。CPAC2021では、これまでの手技を振り返り、今、我々が見直すべき現状を議論していきます。

残念ながら今回のCPACもフルリモートでの開催となります。開催が予定されています11月末頃には我々医療従事者へのワクチン接種は終わっていると思いますが、安全を期してオンライン開催を決定しました。昨今はインターネットの障害も減り、且つ、画質も良好ですので、オンサイトでの開催と遜色なく行えるようになりました。皆様をお迎えする時期の豊橋の季節感はお届けできませんが、EVTの最新の情報はオンラインを通じてお届けいたします。たくさんの皆様に共鳴、共感いただけるコースになるようスタッフ一同、鋭意準備してまいります。是非ともオンラインでCPAC 2021をご視聴ください。