第26回東海ライブ研究会

技術の追求 ~さらなる上を目指して~

 

代表世話人 鈴木 孝彦(豊橋ハートセンター)代表世話人 鈴木 孝彦(豊橋ハートセンター)

近年、循環器内科医を志す医師の間で虚血性心疾患を専攻する若手が減少し、カテーテルを扱う領域では不整脈の人気が高まっていると聞きます。これまで30年以上にわたり、虚血性心疾患の治療は循環器内科の中では花形であり、特に急性冠症候群で苦しむ患者を内科医が自らの技量で救えるカテーテル治療は、医師を目指す若者にとっては魅力ある領域でした。また、一般病院においても虚血性心疾患に対するカテーテル治療は症例数が多い上に収益が大きいことから、循環器内科医の募集にはPCIの経験者が常に優遇されていました。超高齢化社会に突入した本邦では、このようなカテーテル治療バブル期が継続することを疑う余地はありませんでした。

しかし、そこには大きな落とし穴が潜んでいました。高騰する医療費を抑制するための国の政策がこの領域を直撃してきました。直接収入となる手技料は労力に見合わない設定のまま、これまで大きな収入源であったデバイスの公定価格が低下し続けたことで、デバイスから得られる収入は減少しました。さらに、デバイスの改良と治療テクニックの確立に加え、薬物療法がイベントの抑制につながり、症例数は抑制されています。それ故、国内外の医療機器企業は日本市場に見切りをつけ中国、インドをはじめとするアジア諸国に目を向け、新しい製品の開発を日本で行うリスクを避け始めました。病院側も収益が縮小を続けるPCIから1件当たりの収益が大きい不整脈のアブレーションへとシフトし、アブレーションができる医師を求めるようになりました。

誰もが「虚血性心疾患のカテーテル治療は成熟した」と、この領域を語るようになりました。しかし、本当にカテーテルインターベンションは成熟しきったのでしょうか。今もなお、虚血性心疾患で苦しむ患者は後を絶ちません。そのすべてを我々は救いきれているとは言いきれません。カテーテル治療医はこれまで心筋梗塞で死の淵にある患者を救い、主要な冠動脈の完全閉塞で運動能が落ち、歩くこともままならない患者のQOLを改善してきました。そこには常に臨床現場で真摯に患者と向き合うインターベンショニストの技術と企業が開発した革新的なデバイスがありました。

たとえ、市場が成熟しても、先人が極めた技術は次の世代に継承していかねばなりません。自らカテーテルを握った瞬間をもう一度思い出してください。誰もがテクニックを極めて、多くの患者を救うと決意した時があったはずです。その時の思いを決して忘れず、我々はいまだ救うことができない虚血性心疾患で苦しむ患者を救わねばなりません。そのためには、卓越したオペレーターの技術をライブデモンストレーションを通じて自らの目で見て、聞いて学ぶ必要があります。

第26回東海ライブ研究会は「技術の追求 ~さらなる上を目指して~」をテーマに掲げました。そして、今回は前日に新たな試みとして、若手医師が術者を務め、経験豊富なマスターオペレーターがセコンドにつく、プロクターライブを実施する予定です。本ライブでは、エキスパートの指導下で術者がどのように手技を行うかが見所です。果たして卓越した手技を行うオペレーターは卓越した指導者であるのでしょうか。その事実を検証する場となれば幸いに存じます。

翌日は通常通り、マスターオペレーターによるコンプレックスPCIのライブを行います。当院のハートホールで開催する小規模の会として、誰もが気軽に質問できるアットホームな環境下で進行しますので、一例、一例、じっくりと議論を交わしながら学んでいただくことができます。この成熟したカテーテルインターベンション領域を盛り上げ、我々とともにこの領域でイノベーションを起こしましょう。

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